土俵を裁く行司の給与体系は、歩合制や懸賞金の分配がある力士とは根本的に異なります。行司は公益財団法人日本相撲協会の専属職員として位置づけられており、日本相撲協会行司規定に定められた月給および各種手当によって生活が保障されています。
給与は完全な階級制となっており、土俵上の地位がそのまま月給のベースに直結します。行司の階級は上から順に以下の8段階に区分されます。
- 立行司(木村庄之助・式守伊之助):土俵の最高責任者
- 三役格行司:大関・関脇・小結の取組を担当
- 幕内格行司:前頭の取組を担当
- 十両格行司:十両の取組を担当(ここから一人前とみなされ白足袋を履く)
- 幕下格行司:幕下の取組を担当(以下、素足で土俵に上がる)
- 三段目格行司:三段目の取組を担当
- 序二段格行司:序二段の取組を担当
- 序ノ口格行司:入門直後の見習い期間
階級ごとの報酬差は極めて明瞭です。幕下以下の下位行司は、月給にして約8万〜14万円程度にとどまり、年収換算では150万〜250万円前後に過ぎません。所属する相撲部屋で寝食を共にし、部屋の雑務や力士の身の回りの世話をこなしながら修業を続ける生活が基本となります。
一方、十両格へ昇格すると月給はおよそ20万円前後、年収換算で400万〜500万円に達し、白足袋の着用や部屋の外での一人暮らしが認められます。さらに幕内格、三役格と番付を駆け上がるにつれて報酬は段階的に跳ね上がり、最高峰の立行司に至っては基本月給が40万〜50万円以上、各種手当や賞与を含めた年収は1,200万〜1,500万円超に達します。
力士が勝利によって巨額の懸賞金や優勝賞金を手にできるのに対し、行司にはそうした臨時ボーナスは一切存在しません。土俵上の重責に対して支給される固定給と手当が、彼らの生活を支える唯一の基盤となっています。