喉の痛みに襲われた際、インターネット上の不確かな知恵を鵜呑みにして誤ったセルフケアを行い、かえって病状を悪化させてしまうケースが後を絶ちません。最も代表的な誤解が、「強い消毒薬での頻繁なうがい」です。
ポビドンヨード(含嗽用イソジンなど)に代表される殺菌力の強い茶色のうがい液は、確かに細菌やウイルスを不活化する力を持ちます。しかし、すでに粘膜が赤く腫れ上がり炎症を起こしている状態で1日に何度も使用すると、喉を保護している正常な常在菌叢を死滅させ、露出した繊細な粘膜上皮を化学的に刺激して炎症を増幅させてしまいます。痛みがピークに達している急性期のうがいは、抗炎症作用を持つアズレンスルホン酸ナトリウム配合のうがい薬や、生理食塩水(ぬるま湯に微量の塩を溶かしたもの)による低刺激の洗浄が医学的見地から理に適っています。
また、「アルコール度数の高い酒で喉を消毒する」「熱い風呂に入って汗をかけば治る」といった俗説も極めて危険です。アルコールは粘膜の脱水と血管拡張を促し、喉の腫れを劇的に悪化させます。入浴による急激な血行促進も、急性扁桃炎のような活動性の高い細菌感染では痛みを増悪させる引き金となります。痛む箇所を力任せに指で触ったり、首の外側から強く揉んだりする行為も、リンパ節の炎症を周囲組織に波及させるリスクがあるため厳禁です。