SNSやQ&Aサイト、労務相談窓口に集まる実態を定性調査すると、精勤手当に対する現場の感情は複雑に入り組んでいます。制度の恩恵を受ける層と、理不尽な不公平感に晒される層との断絶が鮮明に浮かび上がってきます。
「身体が資本の現場なので、欠勤せずシフトを守るだけで毎月8,000円の手取りが増えるのはありがたい。モチベーションの維持になる」(30代・物流倉庫勤務)という肯定的な声がある一方で、最も深刻なのはパート・非正規雇用の現場で起きている格差です。「正社員と同じ日数・同じ時間帯でレジに入っているのに、正社員だけに精勤手当が月1万円支給され、パートには1円も出ない。これのどこが同一労働同一賃金なのか」(40代・食品スーパー勤務)といった切実な叫びは後を絶ちません。
また、「風邪気味でも『あと2日出勤すれば手当がもらえる』と無理をして出社し、結局肺炎になって長期離脱した」「有休を取ろうとすると上司から『手当がパーになるぞ』と事実上の嫌がらせ(プレッシャー)を受けた」など、手当が出勤強要の道具として悪用されている事例も散見されます。本来は良好な勤務を労うための制度が、運用次第ではブラックな労働環境の温床になりかねないという危うさを秘めています。