分留とは?蒸留との違いから原油精製・沸点の原理まで完全解説

分留とは?蒸留との違いから原油精製・沸点の原理まで完全解説

分留とは?蒸留との違いから原油精製・沸点の原理まで完全解説についての疑問解決ガイドをご紹介します。

分留の最も象徴的かつ最大規模の応用例が、石油精製工場における「原油の分別蒸留」です。油田から採掘されたままの原油は、炭素(C)と水素(H)が複雑に結合した無数の炭化水素の混合物です。この原油をおよそ350℃に加熱して巨大な分留塔に送り込むと、物理法則に従って驚くほど整然と各成分へと分かれていきます。

石油連盟や石油精製各社が公表している工学データに基づき、沸点の低い順(分留塔の上部から得られる順)に各留分の特性を比較・整理した実態が以下のデータです。

留分の名称沸点範囲(℃)と炭素数主な用途・流通形態編集部の見解・産業的重要度石油ガス(LPG)30℃以下(炭素数1〜4)家庭用プロパンガス、タクシー用燃料常温で気体。分留塔の最頂部から回収され、加圧液化して供給される。ナフサ(粗製ガソリン)30〜180℃(炭素数5〜11)プラスチック、合成ゴム、化学繊維の原料「石油化学産業の米」。エネルギー用ではなく化学素材の母体となる極めて重要な留分。ガソリン30〜200℃(炭素数4〜10)自動車用燃料(揮発油)揮発性が極めて高く、常温でも引火するため厳格なオクタン価管理が行われる。灯油(ケロシン)170〜250℃(炭素数10〜15)暖房機器燃料、航空機用ジェット燃料不純物が少なく精製度の高い油。氷点下でも凍結しない特性から航空宇宙分野の必需品。軽油(ディーゼル)240〜350℃(炭素数15〜20)トラック・バス・鉄道・建設機械用燃料高圧力下での自己着火性に優れ、物流輸送を支える高トルクエンジンの原動力。重油・残渣油350℃以上(炭素数20以上)大型船舶燃料、火力発電用燃料、アスファルト塔底に残る最も粘度が高い成分。減圧蒸留装置に回されてさらにアスファルト等へ分離。

表から読み取れる通り、「分子の炭素数が少ない=分子量が小さい=分子間力が弱い=沸点が低い」という化学の基本原則が、そのまま精製プロセスの垂直的な配置と直結しています。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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