コーヒーが尿路結石の引き金になると信じ込まれてきた最大の要因は、成分に含まれるシュウ酸にあります。日本の臨床現場において、尿路結石の約80%以上を占めるのが「シュウ酸カルシウム結石」です。尿中のシュウ酸濃度が上昇し、カルシウムと結合して結晶化することで、腎臓や尿管に鋭利な石が形成されます。この生化学的プロセスから、「シュウ酸を含むコーヒー=危険な飲み物」という短絡的な図式が一人歩きしてしまいました。
しかし、食品成分の客観的分析データを検証すると、この俗説の誤りが明白になります。100mlあたりのシュウ酸含有量を比較した場合、ほうれん草(約800mg)や玉露(約100mg)、紅茶(約20〜30mg)に対して、浸出液としてのドリップコーヒーに含まれるシュウ酸はわずか1〜2mg程度に過ぎません。つまり、コーヒー自体に含まれるシュウ酸の絶対量は極めて微量であり、単体で結石形成の主因となるレベルではないというのが、現代医学における尿路結石とコーヒーの原因と真相です。