多くのパン職人や愛好家が「一度使うと他の粉に戻れない」と語る最大の理由は、春よ恋特有のデンプン構造とアミロース比率にあります。
小麦粉の食感を左右するデンプンには、アミロースとアミロペクチンという2種類の成分が含まれています。春よ恋は一般的な輸入小麦と比較してアミロースの割合が低く、粘りの強いアミロペクチンを豊富に含んでいます。この性質が、加熱された際に水分を抱え込んで糊化(アルファ化)し、独特の「吸い付くようなしっとり感」と「引きのあるもっちり感」を生み出す原動力となっています。
さらに見逃せないのが、糖度計の数値だけでは測れない自然な穀物由来の甘みです。外皮に近い部分まで丁寧に挽き込む高度な製粉技術により、酵素の働きが活発化し、発酵の過程で小麦本来のオリゴ糖や麦芽糖が自然な形で引き出されます。油脂や砂糖を贅沢に使ったリッチな生地はもちろんのこと、粉・水・酵母・塩だけで焼き上げるハードトーストにおいて、噛み締めるほどに押し寄せる奥深い風味は他の追随を許しません。