長崎皿うどんの本場定番具材を紐解くと、単に彩りを揃えるだけでなく、動物性・植物性・魚介系の異なる旨み成分(イノシン酸・グルタミン酸・グアニル酸)を緻密に組み合わせていることが分かります。長崎の老舗中華料理店や地元家庭で受け継がれる基本具材は以下の構成が王道です。
旨みのベースとなるのが海鮮皿うどんの具(エビ・イカ・豚肉)の三位一体です。豚バラ肉の脂から溶け出す動物性のコクに、エビやイカのアミノ酸が重なることで、スープに深い奥行きが生まれます。さらに、長崎特有の「紅白はんぺん(かんぼこ)」やちくわなどの練り物を加えることで、魚肉の甘みが餡全体に行き渡ります。
仕上がりを格上げするうえで欠かせないのが、うずらの卵ときくらげの下処理です。乾燥きくらげはぬるま湯に少量の砂糖を入れて戻すと、プリッとした肉厚の食感が蘇り、特有の土臭さも抜け落ちます。エビは背ワタを除去した後に片栗粉と塩で揉み洗いし、イカには格子状の隠し包丁を入れて酒で下味をつけておくことで、短時間の加熱でも驚くほど柔らかくジューシーに仕上がります。
なお、皿うどんを語る上で押さえておきたいのが、パリパリ揚げ麺と太麺ちゃんぽんの違いです。全国的に「皿うどん」といえば極細の油揚げ麺(細麺)にトロトロの餡をかけるスタイルが連想されますが、長崎現地では太麺(ちゃんぽん麺)を中華鍋で香ばしく焼き付け、具材とスープを絡めて炒め煮にする「太麺皿うどん」も同等以上に愛されています。細麺にはしっかりとしたとろみ餡が合い、太麺には具材の旨みが染み込んだ軽めの餡がベストマッチします。