知子さんの教育法の特徴は、「過保護にならず、本人の自主性を極限まで尊重する」という姿勢にある。学業をおろそかにせず大学へ通わせる一方、歌舞伎の稽古に対しては自発的な意欲を持つよう影で励まし続けた。
その成果が試されたのが、澤瀉屋の代名詞とも言えるスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』の主役・ヤマトタケル役に抜擢された舞台だ。急遽の代役という絶体絶命のプレッシャーの中、團子が見せた圧倒的な存在感と気迫あふれる演技は、観客や批評家を唸らせた。客席の陰で見守っていた知子さんの存在が、彼の背中を強く押していたことは言うまでもない。