実験に取り組んだ親子の多くが直面する最大の壁が、「昨日まで順調だったのに、朝見たら結晶が溶けて小さくなっていた」「透明にならず、牛乳を固めたように白く濁ってしまった」という現象です。このミョウバン結晶失敗原因の根底には、化学的な基本原理である溶解度曲線と過飽和状態のコントロールが深く関わっています。
ミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム)は、水温によって溶ける量が極端に変化する物質です。水100gに対して20℃では約11g程度しか溶けませんが、60℃まで温めると約57g、80℃では100g以上も溶解します。結晶を育てる作業は、温かいお湯に限界までミョウバンを溶かした水溶液が冷える過程で、溶けきれなくなった溶質が結晶として現れる性質を利用しています。
では、なぜ「溶けて消える」事故が起きるのでしょうか。主な原因は、日中と夜間の室温差、あるいは溶液を追加する際の水温設定にあります。種結晶を吊るした容器の周囲温度が急激に上昇したり、追加した水溶液が種結晶よりも高い温度で未飽和状態になっていたりすると、結晶は成長するどころか溶液中に逆戻りして溶け出してしまいます。
一方で、結晶が白く濁る現象は「急冷」によって引き起こされます。溶液の温度が一気に下がると、ミョウバン分子は規則正しい格子構造を組み立てる時間を失い、無数の小さな微結晶(結晶核)が一斉に乱立します。光がこれらの微小な隙間で乱反射することで、人間の目には白く濁った塊に見えてしまうのです。透明で美しいミョウバン結晶巨大化を成功させる唯一の道は、「発泡スチロール容器や保温シートを活用し、数日かけて極めてゆっくりと温度を下げる徐冷環境」を構築することに尽きます。