まず押さえておきたいのは、この定番の四字熟語が持つ本来の定義だ。「一部始終」とは、事の起こりから結末に至るまでの経過や事情の「すべてのプロセス」を指す。隠し立てせず、包み隠さず全体を報告する文脈で好んで使われる。
しかし、現場で頻出する誤用が存在する。代表的なのが「一部の始終」と助詞を挟んでしまったり、単に「一部(パート)」の意味だと錯覚して「事件の一部始終だけを切り取って伝える」と述べてしまうケースだ。これでは「全体」を意味する本旨と真逆のニュアンスになりかねない。また、「一部始終を把握した」と言いながら結末しか見ていないといった理解不足も、ビジネスコミュニケーションの齟齬を引き起こす大きな要因となっている。