テレビ局や出版社側のアプローチにも明らかな変化が見られる。以前であれば「苦難の生い立ち」を演出の軸に据えた過度な演出が目立ったが、現在は彼らの実力や魅力を第一に据えたうえで、生き方の一環として生い立ちに触れる演出が主流となった。
背景にあるのは、視聴者のリテラシー向上と、当事者自身が直接発信できるSNS時代の到来だ。テレビ番組の編集によって意図しない「悲劇のヒーロー」に仕立て上げられるリスクを回避し、自らの言葉でフラットに経験を語る手段を誰もが持つようになった。この構造変化が、偏見の解体速度を爆発的に早めている。