台風の目で最も重要な基礎は、1本の棒を持つメンバー全員が「自分は何を担当しているのか」を完全に理解することです。3人〜5人で1本の棒を持つ際、立つ位置によって求められる運動能力と身体の使い方は全く異なります。
【内側(インコース)の役割:回転軸を作るコンパスの針】
内側の走者は、旋回時に大きな距離を走りません。むしろ「移動スピードを素早く落とし、コーンの至近距離に軸足を踏み込んで回転軸を固定する」というブレーキ役が求められます。小刻みなステップ(ピボットターン)でコーンを抱え込むように回り、外側のメンバーがスムーズに円を描けるよう遠心力を受け止めます。適任なのは、小回りが利き、状況判断が早く下半身の踏ん張りが利く選手です。
【外側(アウトコース)の役割:遠心力を推進力に変えるスプリントエンジン】
外側の走者は、旋回時に内側の数倍の距離をトップスピードで駆け抜けなければなりません。外側にかかる強烈な遠心力で身体が外へ振られるのを防ぐため、「上半身をやや内側に傾けながら全力疾走できるチーム最速のスプリンター」を配置するのが鉄則です。足の速さに加え、遠心力に負けない体幹の強さとスタミナが不可欠です。
【中央(センター)の役割:力と速度を仲介するバランサー】
4人制や5人制の場合、中央のメンバーは内側の「軸」と外側の「スピード」を同期させるインターフェースとなります。棒が斜めに歪んだり、外側の走者が置き去りになりそうになったりした際、棒を前後に押し引きして角度を水平に保つサポートを行います。周囲の状況を冷静に見渡せる調整力の高い選手が適しています。
また、意外に見落とされがちなのが棒の持ち方です。全員が同じ持ち方をするのではなく、内側は棒を身体に引きつけやすい「順手(手の甲が上)」でしっかりと脇を締め、外側は腕を大きく振れるよう「順手と逆手(片手を下から添える)」を使い分けると、棒のコントロール性が飛躍的に向上します。