「猫の手」の魅力は言葉の面白さにとどまりません。生物学的な観点から見ても、猫の前足には驚くべき機能が凝縮されています。
ぷにぷにとした感触で人々を魅了する肉球は、中央の大きな「掌球(しょうきゅう)」、指先にある「指球(しきゅう)」、そして少し離れた手首付近にある「手根球(しゅこんきゅう)」などで構成されています。これらは単なるクッションではなく、高所から飛び降りた際の衝撃吸収や、獲物に気付かれずに忍び寄るサイレント歩行を可能にする高性能サスペンションです。
さらに、猫の体の中で唯一汗をかく場所が肉球です。緊張したときに汗をかいて滑り止めにする役割や、自分の縄張りに臭いを残す臭腺の役割も果たしています。
日本語には猫の手以外にも、「猫に小判」「猫の額」「猫をかぶる」「借りてきた猫」など、猫の生態や外見を鋭く捉えたことわざ・慣用句が豊富に存在し、日本人の生活と猫がいかに密接であったかを物語っています。