日常会話において「ケツカッチン」は、「次の予定が迫っており、今の予定を延長できないタイムリミットの状態」を表すスラングとして定着しています。「後ろがつかえている」「この後すぐに別の仕事がある」といった切迫したスケジュール調整の文脈で頻繁に使われます。
気になる語源のルーツは、映画の撮影現場で使われる撮影用具「カチンコ(ボールド、スレート)」にあります。通常、カチンコはシーンの開始時にカメラの前で「シーン〇、カット〇」と告げてから打ち鳴らし、映像と音声を同期(シンクロ)させる目印にします。ところが、動物や子どもの撮影で事前に音を立てられない場合や、突発的なハプニングを捉えるカメラワークでは、カットの開始時にカチンコを鳴らせません。
そこで用いられるのが、カットの最後、つまり映像の末尾(ケツ)でカチンコを逆さまにして「カチン」と鳴らす撮影手法です。現場ではこれを「ケツカチン(エンド・スレート)」と呼びました。これが転じてテレビ業界用語となり、人気タレントやスタジオの撤収時間など、「絶対に終了時間を後ろへ延ばせないギリギリのスケジュール」を指す隠語として制作現場で使われるようになった経緯があります。