女性の体内において、プロラクチンは脳の底部にある「下垂体前葉」から分泌されています。通常、妊娠していない女性の血中プロラクチン基準値は15ng/mL以下(施設基準により約3.0〜25.0ng/mLの幅あり)に保たれています。この数値が恒常的に基準値を超過している状態が高プロラクチン血症です。数値が跳ね上がる最大の理由について、臨床現場では「視床下部から下垂体へ伝達されるドパミン抑制機構の破綻」が根本にあると指摘されています。
通常、脳内伝達物質であるドパミンは、プロラクチンの過剰放出にブレーキをかける役割を担っています。ところが、何らかの異常によってドパミンの分泌が遮断されたり、下垂体そのものにプロラクチンを勝手に作り出す腫瘍が生じたりすると、血中濃度は一気に跳ね上がります。プロラクチンが高値を示すと、脳の視床下部からの「性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)」の分泌がストップし、連動して卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)も急激に低下します。その結果、卵胞が成熟せず、生理不順や完全な無月経へと直結してしまうのです。
さらに見逃せないのが、乳汁分泌の真相と黄体機能への悪影響です。妊娠していないにもかかわらず乳首を圧迫した際に白い液体が滲み出る「乳汁漏出症」は、高プロラクチン血症を患う患者の約30〜40%に見られます。また、たとえ自力で排卵が起きていたとしても、プロラクチンの軽度上昇が黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を著しく損ないます。子宮内膜が十分に厚くならず受精卵が着床できない「黄体機能不全」を引き起こすため、隠れた不妊の主因として早期発見が急務とされています。