興味深いことに、本家フランスやアメリカでもノストラダムスに関する書籍は多数出版されていたが、日本ほど社会全体を包み込む大規模な社会現象には至らなかった。なぜ日本社会だけがこれほどまでに過剰反応したのだろうか。
宗教学者や社会学者の分析によれば、日本の「無常観」や「滅びの美学」が大きく影響しているという。地震や台風などの自然災害と背中合わせで生きてきた日本の文化基盤には、「あらゆるものはいつか忽然と消え去る」という受容性が潜んでいる。さらに、バブル崩壊後の失われた10年における経済的・政治的停滞感が、社会全体の「一思いにすべてリセットされてほしい」という潜在的欲求を増幅させたのだ。