『三つ目がとおる』の物語を貫く最大の核、それはかつて地球上に栄えながらも超技術とともに途絶えた「三つ目族」の謎だ。主人公・写楽保介の額に刻まれた第三の目は、単なる超能力の源泉にとどまらず、失われた古代文明の記憶と絶大な破壊兵器を呼び覚ます鍵であった。
漫画原作のクライマックスにおいて提示されたのは、全知全能の力を振るい世界を平定せんとする三つ目族の王としての宿命と、人間界での平穏な日常との決定的な相克だ。手塚治虫はラストスパートに向け、古代遺蹟「ボルボック」や魔弾の球など緻密な伏線を怒涛の勢いで回収していった。しかし、最終話の紙面には描かれ切らなかった初期構想や裏設定が存在する。それは、三つ目族の滅亡が自らの過剰な科学技術と傲慢さによる自滅であったという悲劇的な史実であり、写楽自身が最後につけた「選択」への重い示唆であった。