ビジネスの現場では、つかぬこと ビジネスでの使い方として「つかぬことを伺いますが」や「つかぬことをお聞きしますが」というフレーズが頻繁に用いられます。文法上、「伺う」は謙譲語であるため、敬語の組み立てとして間違いではありません。
しかし、目上の人への使い方という観点から検証すると、手放しで安全な表現とは言い切れません。「付かぬこと(=本筋とは無関係なこと)」を自ら宣言して質問を投げかける行為は、多忙な上司や取引先の役員に対して「これから業務の文脈から外れた個人的な興味・雑談を持ちかけます」と予告することと同義だからです。
相手との心理的距離や役職の差が大きい場合、単に定型句を口にするだけでは不躾な印象を与える恐れがあります。ビジネスシーンで唐突な質問を投げかける際は、以下のマナー原則を意識する必要があります。
- 公私を峻別する:業務外の個人的な質問(プライベートな趣味や身の上話)に踏み込む際は、「私事でお恥ずかしいのですが」「もし差し支えなければ」といった限定条件を重ねる。
- 質問の意図を先回りして明かす:「つかぬことを伺いますが、先ほどお話しされていた〇〇ツールの導入背景について…」のように、何について尋ねるのかをワンセンテンスで明瞭にする。
- チャットでの単体送信を避ける:SlackやTeamsなどのビジネスチャットで「つかぬことを伺いますが」とだけ送信し、相手の返信を待つ行為(いわゆるハローハラスメント)は業務の中断を招くため厳禁。質問内容とセットで一投稿にまとめる。
特にビジネスメールでの例文としては、以下のような構成が信頼感を損なわない手本となります。
【ビジネスメールでの例文】
「〇〇様、いつも大変お世話になっております。株式会社△△の佐藤です。
先ほどお送りいただきました議事録の件、誠にありがとうございました。
業務の本筋から少し外れ、大変つかぬことを伺いますが、先日のミーティングでご紹介いただいた外部研修プログラムについて、弊社でも導入を検討したく存じます。もし差し支えなければ、運営元の事業者名をご教示いただくことは可能でしょうか。」