美術や建築の分野における「アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)」は、直訳すると「新しい芸術」を意味します。産業革命以降の粗悪な大量生産品に反発したイギリスの「アーツ・アンド・クラフツ運動」に触発され、1890年代からベルギーやフランスを中心に花開きました。
アール・ヌーヴォーの最大の特徴は、「植物や波、昆虫などの自然物をモチーフにした有機的な流線型・曲線美」にあります。アルフォンス・ミュシャのポスター画や、アントニ・ガウディのサグラダ・ファミリア、エクトール・ギマールが手掛けたパリの地下鉄入り口などが代表例です。
これと混同されやすいのが、1920年代に流行した「アール・デコ(Art Déco)」です。第一次世界大戦後の工業化・大量生産時代に適応する形で誕生したアール・デコは、「直線的・幾何学的なパターンと合理性」を極限まで追求しました。ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルやクライスラー・ビルがその典型です。「有機的な曲線=アール・ヌーヴォー」「無機的でシャープな幾何学模様=アール・デコ」と整理すると、デザインの意図が明瞭に掴めます。