大友の卓越した描画性能は、紙の上にとどまらなかった。自身が監督を務めた劇場アニメ映画『AKIRA』において、日本の手描きアニメーション産業は一つの到達点を迎える。出版元の講談社をはじめとする各社が出資し、アニメーション制作の金字塔であるサンライズなどトップクラスのスタジオやクリエイターが集結したプロジェクトは、当時の常識を遥かに超えた制作規模となった。
セル画の枚数は実に15万枚超。暗闇の中で光るバイクのテールランプの残像、緻密に描かれた群衆のダイナミックな動き、爆発のグラデーション。アニメーターたちが過酷な手作業で仕上げた映像美は、セル画アニメの最高峰として世界中の映像制作陣を震撼させた。CGが主流となった現代でも、あの手描きならではのエネルギーと躍動感を超える作品を生み出すことは容易ではない。