テニス中継を担うWOWOWの解説陣や、日本テニス協会の関係者たちの間でも、錦織を取り巻く空気の変化は顕著に感じ取られている。かつてコート脇のボックス席に座る観月あこの姿をカメラが執拗に追った時代は過ぎ去り、現在では純粋にアスリートとしての錦織圭のプレーとその戦術にフォーカスが当てられるようになった。
プロテニス業界における成熟とは、選手の私生活を扇情的に消費する段階を終え、そのキャリアの全貌を客観的に評価することに他ならない。過剰な偏見が薄れ、二人が静かな家庭生活を営む中で、解説陣の語り口もまた、彼の精神的安定とテニスに対する深まった情熱を正当に評価するものへと変化している。