一方、栗山英樹氏が歩んだ道もまた、極めて劇的だった。2012年、北海道日本ハムファイターズの監督に就任した際、誰もが不可能な暴挙だと嘲笑した「大谷翔平の二刀流育成」を完遂。さらに2023年のWBCでは侍ジャパンを率いて世界一を奪還し、日本中を歓喜の渦に巻き込んだ。
栗山氏がなぜこれほどの執念と愛情をもって選手たちに接することができたのか。球団関係者の間では、「家庭を持たず、野球と選手に自らの人生の全てを捧げた生き様」が指摘される。栗山氏にとって、大谷翔平をはじめとする教え子たちは、自らの命を削って育てる存在だったのだ。1990年代の破局を経て彼が選んだ「孤高の野球人」としての生き方が、もし別の形であれば、二刀流・大谷翔平の世界制覇は生まれていなかったかもしれない。