イオンシネマが改定を決断した背景には、映画興行界およびシネマコンプレックス業界全体が抱える切実な事情が存在する。映画館は広大な空間で大水準の電力を常時消費する施設であり、近年のエネルギーコスト増大は劇場の損益分岐点を大きく押し上げてきた。
親会社であるイオン株式会社が手掛ける商業施設内での集客核として、映画館はショッピングモール全体の回遊性を高める役割を担う。しかし、運営コストの上昇は施設単体の収益性を直接圧迫してきた。同社の代表取締役社長を務める浅野健士氏をはじめとする経営陣も、単なるコスト転嫁にとどまらず、鑑賞体験の価値そのものを高めるための最新設備投資と人件費の適正化を図る必要性を強調している。