髪の柔軟性が失われる背景には、先天的(遺伝的)な要素と後天的なダメージ要因が複雑に絡み合っています。的確な対策を打つために、まずはご自身の髪で何が起きているのかを把握することが欠かせません。
第一の要因は、毛髪内部の構造バランスです。日本人の髪は欧米人と比較してキューティクルが厚く、毛髪内部の「コルテックス(毛皮質)」が密に詰まっています。コルテックスには水分を吸いやすい「オルトコルテックス」と、水分を吸いにくい「パラコルテックス」が存在し、この比率が偏ると頑固なくせ毛や剛毛特有の硬直化を引き起こします。
第二の要因は、水分保持力の低下(インナードライ)です。健やかな髪の水分量は通常約12〜15%に保たれていますが、カラーリングや紫外線によってキューティクルが損傷すると、水分量は10%以下まで急落します。油分と水分の乳化バランスが崩れることで、髪はしなやかさを失い、手触りがカチカチに硬化してしまいます。
第三の要因は、日常的な熱変性です。ヘアアイロンやコテによる高温(160℃以上)の熱を繰り返し受けると、髪の主成分であるケラチンタンパク質が「熱変性」を起こします。これは生卵を熱すると固ゆで卵になる現象と同じで、一度硬化したタンパク質は通常の水洗いだけでは元の柔らかさに戻りません。