インターネット上やSNSでは度々「小杉の大杉は『となりのトトロ』の公式モデルになった木なのか?」という議論が巻き起こります。結論から言えば、スタジオジブリや宮崎駿監督が公式に「この木をモデルにして作画した」と発表した事実はありません。
映画『となりのトトロ』が劇場公開されたのは1988年のことです。当時、宮崎監督が構想の原風景としたのは、埼玉県所沢市から東京都東村山市にかけて広がる狭山丘陵周辺の里山風景であることが公式書籍や関係者の証言で明らかにされています。鮭川村の大杉が広く知られるようになったのは、映画公開から数年後、テレビ番組や旅行雑誌が「まるでトトロのようだ」と取り上げたことがきっかけでした。
しかし、公式モデルではないという事実は、この巨木の価値を少しも損なうものではありません。人為的に剪定されたわけではなく、千年の風雪に耐えた自然の造形が偶然にも国民的キャラクターと合致したという点にこそ、多くの人々がロマンを感じる理由があります。地元・鮭川村役場や観光協会も「トトロの木」という親しみやすい愛称を前向きに受け止め、周辺の環境整備を進めてきました。