ネット上の情報空間には、「白米をもち麦に変えるだけで運動なしで劇的に痩せる」といった過度な期待を煽るコンテンツが散見されます。しかし、食品機能学の観点からすれば、これは明らかな誤認です。
第一の盲点は、腹持ちと満腹感の真相にあります。確かに大麦は消化に時間がかかり、胃内滞留時間が長いため物理的な満腹感が持続します。しかし、これは「消化管に負担をかけやすい」ことの裏返しでもあります。胃腸の消化能力が落ちている体調不良時や、胃酸過多の傾向がある人が急激にもち麦の割合を高めると、重い胃もたれや消化不良を引き起こす要因となります。
第二の盲点は、白米との「絶対的なカロリー差」の少なさです。前述の通り、乾物状態のカロリーは白米(精白米)が100gあたり約342kcalであるのに対し、もち麦は約339kcalと、実質数キロカロリーしか違いません。大麦は炊飯時に米よりも多くの水分を吸うため、炊き上がり100g換算では白米よりカロリーが20〜30%下がりますが、それは「水分量が増えている」からに過ぎません。どんぶり一杯の大盛りを食べてしまえば、当然ながら体脂肪として蓄積されます。
麦ご飯の本質は「カロリーカット食品」ではなく、「糖質の代謝効率を高め、脂肪になりにくい身体のリズムを作る代謝調整食品」であるという認識の転換が不可欠です。