病院に行く時間を惜しみ、ドラッグストアで手に入る「ドリエル」などの市販睡眠改善薬に救いを求める人は少なくありません。しかし、市販睡眠改善薬と処方薬の違いを正しく理解していない消費者が、深刻なコストの浪費と症状の悪化を招いているケースが目立ちます。
市販の睡眠改善薬の主成分は「ジフェンヒドラミン塩酸塩」であり、これは医療用医薬品としては古典的な第一世代の抗ヒスタミン薬(鼻炎薬や皮膚のかゆみ止め)そのものです。花粉症の薬を飲んだときに感じる「耐えがたい眠気」という副作用を逆手に取り、主作用としてパッケージングした薬剤に過ぎません。
この抗ヒスタミン型睡眠改善薬には、決定的な弱点が2点あります。
第1に、耐性獲得の異常な早さです。人間の脳のヒスタミン受容体は、抗ヒスタミン薬に対してわずか3〜4日連続で暴露されると急速に鈍化します。つまり、ドリエルを4日続けて飲むと、体感できる眠気はほぼ消失し、ただ漫然と高価な錠剤を飲み続けるだけの無駄に陥ります。
第2に、価格対効果の圧倒的な悪さです。処方薬であれば保険適用(3割負担)で1ヶ月分が数百円から千数百円程度で手に入るのに対し、市販薬はわずか6回分(1箱)で1,000円〜1,500円前後の値がつけられています。市販薬の添付文書にも明記されている通り、これらはあくまで「時差ボケ」や「数日だけの試験前の緊張」といった一時的な不眠のためのレスキュー手段であり、2週間以上続く本格的な不眠症の治療薬としては全く設計されていません。