物語の終盤で読者に大きな衝撃を与えたのが、第4代継承者・四ノ森避影の記録から明らかになった「継承者の寿命に関する残酷な真実」です。
四ノ森はAFOとの直接対決を避け、山奥に引きこもって18年もの歳月を力の鍛錬に費やしました。しかし、彼は外傷ではなく、わずか40歳で「老衰」により命を落とします。その原因は、「既に個性を持っている人間にワン・フォー・オールを宿すと、器の限界を超えて生命力そのものが削られる」という致命的な拒絶反応にありました。
人間を一杯の水が入ったグラスに例えるなら、生来の個性を持つ者はすでに水で満たされています。そこにワン・フォー・オールという濁流を注ぎ込めば、グラスそのものがひび割れ、砕け散ってしまいます。歴代継承者たちが短命で戦死していった背景には、AFOの執拗な追跡だけでなく、肉体そのものが内側から摩耗していた事実が存在していたのです。
この絶望的な制約を打破したのが、8代目オールマイトと9代目デクという「生まれつき無個性だった2人」でした。
空っぽのグラスであったからこそ、オールマイトは40年もの長期にわたって絶大なパワーを保持し、「平和の象徴」として君臨することができました。そして、力が肥大化しすぎて常人では受け取った瞬間に命を落としかねない第9世代において、デクが無個性であったことは単なる偶然ではなく、この力を完結させるための「絶対的な資格」だったのです。