事の発端となったのは、北京大学の宋暁東(シャオドン・ソン)教授らの研究チームが英科学誌『Nature Geoscience』に発表した論文、およびその後に続いた南カリフォルニア大学などの追試研究です。研究チームは、1960年代から半世紀以上にわたり同じ場所で発生した「繰り返し地震(反復地震)」の地震波解析を実施しました。
地球内部構造は、外側から「地殻」「マントル」「外核(液体金属)」「内核(固体金属)」の層状に分かれています。液体の外核に浮かぶ個体の内核は、周囲から物理的に隔離されているため、地表とは異なる速度で回転することが可能です。
解析の結果、1970年代から2000年代初頭にかけては、内核がマントルや地殻よりもわずかに速く自転(超回転)していましたが、2009年前後を境にその速度が減速。地表の自転速度を下回る状態(遅延回転)へ移行したことが確認されました。つまり、地表にいる私たちから見ると「内核が以前とは逆向きに動いているように見える」という相対的な現象を、論文では「逆回転(reversing)」と表現したのです。
さらに近年の観測データにより、この現象は約60年から70年の周期で規則的に生じる振動運動であることが明らかになりつつあります。地球の歴史の中で幾度となく繰り返されてきた通常運転の範囲内であることが科学的に裏付けられました。