女優・武井咲の真骨頂といえば、松本清張原作の名作『黒革の手帖』で魅せた悪女・原口元子役だろう。それまでの清純派イメージを鮮やかに裏切り、絢爛豪華な着物を身にまとって男たちを翻弄する姿は、視聴者に強烈な衝撃を与えた。サスペンスドラマというジャンルにおいて、彼女は一躍「時代の顔」となったのだ。
人間の業や欲望、嫉妬が渦巻く複雑な心理描写において、彼女が見せる冷徹な微笑と瞳の奥行きは、一瞬で画面を引き締める。人間の裏表を巧みに表現できる稀有なビジュアルと演技力は、近年の海外配信ドラマが求める重厚なミステリーやサスペンスのトーンと完璧に合致している。