加齢に伴う変化の中でも、特に飼い主の負担と不安が大きくなりやすいのが「運動器のトラブル」と「認知機能不全症候群(犬の認知症)」です。
14歳頃から目立ち始める歩行困難と足腰の衰えのサインには、フローリングで後ろ足が滑る、立ち上がりに時間がかかる、歩行時に頭が下がる、段差を躊躇するといった動作があります。変形性脊椎症や関節炎が悪化すると一気に起立不能へ進行するため、足裏の毛のカットや滑り止めマットの敷設が不可欠です。
さらに見逃せないのが犬の認知症の初期症状です。日本犬系(柴犬や日本犬雑種など)に比較的多く見られる傾向がありますが、全犬種で発症リスクがあります。
- 夜鳴き・遠吠え:夜間になると理由もなく甲高い声で鳴き続ける、昼夜逆転。
- 旋回運動・徘徊:同じ方向に円を描くように歩き続け、狭い隙間に入り込んで自力で後退(バック)できなくなる。
- 見当識障害:飼い主の顔が認識できない、空間把握が乱れ壁に頭を押し当てる。
- 排泄の失敗:トイレの場所がわからなくなり、寝床の近くで排泄してしまう。
夜鳴きや徘徊が始まった場合、頭ごなしに叱るのは逆効果です。家具の隙間をクッションで塞ぐ、円形のサークルを用意して引っかかりを防ぐ、朝に日光を浴びせて体内時計をリセットするなどの環境調整を行います。症状が重い場合は、獣医師と相談のうえで鎮静作用のあるサプリメントやDHA/EPA製剤、漢方薬、睡眠薬などの導入を躊躇すべきではありません。