なぜ安全であるべき避難所で性被害が繰り返されてしまうのか。その背景には、災害時特有の環境と運営体制の構造的な問題が絡み合っています。
第一に、プライバシーの著しい欠如と死角の存在です。体育館などの大広間に間仕切りがない状態では視線を遮ることができず、着替えや授乳の場すら確保困難になります。さらに、夜間の照明不足や屋外に設置された仮設トイレへの暗い導線が、加害者にとって好都合な死角を生み出してしまいます。
第二に、運営リーダー層の固定化と力関係の偏りが挙げられます。避難所の責任者や役員の多くを高齢男性が占める場合、女性特有の防犯リスクや衛生面の配慮が後回しにされがちです。また、「地域の和を乱してはいけない」「助けてもらっているのだから我慢しなければならない」という心理的重圧から、被害を受けても声を上げられない空気が醸成されてしまう点も深刻です。
第三に、避難所への出入り管理の甘さです。混乱期には住民以外の出入りを把握しきれず、支援物資搬入やボランティアを名乗る人物の身元確認が疎かになり、悪質な不審者の侵入を許してしまうリスクが高まります。