「前足の幅が20センチを超える巨大モンスター」「体重は400キロを超え、乗用車を跳ね飛ばす巨躯」――被害が拡大するにつれ、メディアやSNS上では怪獣映画さながらの噂が飛び交いました。コードネームの由来自体、最初の襲撃地である標茶町字名「オソツベツ(下卒鼈)」と、現場に残された前足の掌幅「18センチメートル」を組み合わせた行政側の識別符号でしたが、ネット上では「悪魔の番号」のように神格化されていった経緯があります。
しかし、2023年7月30日に駆除された後に判明した生物学的な実態は、世間が抱いていたイメージとは大きくかけ離れたものでした。
横たわった死体と対面した関係者が一様に漏らしたのは、「これが本当にあのOSOなのか」という困惑でした。毛が抜け落ちて貧相に痩せこけ、背骨が浮き出たクマの姿は、冷酷無比な殺戮者というよりは、病魔と老いに追いつめられた野生動物の過酷な哀愁を漂わせていたのです。