昔の体温計を現在も保管している家庭で最も警戒すべき事態が、落下や圧迫による「ガラスの破損と金属水銀の流出」です。体温計に含まれる水銀量は約1グラム程度と少量ですが、室温で放置すると徐々に蒸発し、無色無臭の有毒な水銀蒸気となって空気中に漂います。
パニックになって誤った行動を取ると、被害を自宅全体に拡散させることになりかねません。医療関係者や環境毒性の専門知見に基づく「厳禁行為」と「正しい対処ステップ」を頭に入れておく必要があります。
絶対にやってはいけない3大NG対処法
1. 掃除機で吸い取る:最も危険な行為です。掃除機の排気熱と高速気流によって水銀が一気に微粒子化・気化し、部屋中に有毒ガスが充満します。また掃除機本体も汚染され再利用不能になります。
2. ホウキやブラシで掃く:水銀の球体を細かく粉砕して床の隙間に散らし、蒸発面積を増やしてしまいます。
3. 排水口やトイレに流す:水道管のトラップに滞留したり、下水を通じて重大な水質汚染を引き起こします。
安全に処理するための5ステップ
ステップ1【換気と避難】:部屋の窓を2箇所以上開けて外気を取り入れ、子どもやペットを直ちに別室へ避難させます。
ステップ2【防護】:ゴム手袋(またはビニール手袋)とマスクを着用し、直接皮膚に触れないようにします。
ステップ3【回収作業】:厚紙やトランプを2枚使って水銀の銀色玉をすくい上げるか、粘着テープの接着面に貼り付けて回収します。小さな隙間に入った粒はスポイトで吸い取ります。
ステップ4【密閉保管】:回収した水銀とガラス片を、蓋がしっかり閉まるガラス瓶または密閉チャック付きビニール袋に二重に入れて封をします。
ステップ5【自治体へ相談】:密閉した容器を「割れた水銀体温計」と明記し、お住まいの自治体の清掃局窓口に処理方法を確認して持ち込みます。