ネット上の質問サイトや一部のまとめ記事では、「ちょめちょめ」の語源に関して真偽不明の俗説が散見されます。代表的な誤解と、現場資料から判明している歴史的事実を検証していきましょう。
よくある俗説1:印刷業界の専門用語や隠語が由来?
「印刷・校正の現場で『×』をチョメと呼んでいた業界用語を山城新伍が引用した」という説があります。しかし、校正記号の歴史資料や印刷用語辞典を紐解いても、「×」をチョメと呼ぶ公的な記録は存在しません。校正現場での「×」は「ペケ」または「トル(削除)」であり、山城氏本人が業界用語を借用したという事実も確認されていません。これは後付けの都市伝説です。
よくある俗説2:「妾(めかけ)」や「ちょん切る」の合成語?
男女の情事を指すことから、「妾(め)」や「男女の縁をちょん切る」といった古語・艶語が合体したという深読み説も存在します。しかしこれも、山城氏が生前明かした「筆でサッサッと×印を書くときのオノマトペ(擬音)として口をついて出た」という一次証言と完全に矛盾します。知的な仕掛けではなく、音の響きの軽さとインスピレーションが生み出した偶然の産物というのが言語学的な真実です。
「ほにゃらら」との決定的な構造差
クイズ番組の伏せ字から生まれた流行語としては、1980年代後半に『世界まるごとHOWマッチ』でビートたけし氏や石坂浩二氏らが多用した「ほにゃらら」も有名です。
しかし、両者には明確な使い分けが存在します。「ほにゃらら」は単なる未確定な情報や任意の言葉を代入するニュートラルなブランク記号(数学でいうXのようなもの)として定着しました。対して「ちょめちょめ」は、当初から山城氏のキャラクターによって濃厚な「艶(つや)」が付与されたため、単なる代入記号を超えて「秘め事の代名詞」という固有のセマンティクス(意味合い)を獲得したのです。