国が推進する南海トラフ巨大地震対策特別計画に基づき、太平洋沿岸を中心に防潮堤の嵩上げや水門の自動閉鎖システム、津波避難タワーの建設が急速に進められてきた。内閣府政策統括官(防災担当)を中心とする検討会では、想定される最大クラスの津波外力(レベル2)に対する多重防御の重要性が繰り返し強調されている。
巨大災害研究の第一人者である河田惠昭氏は、ハードウェア整備の限界を指摘しつつ「防潮堤が粘り強く耐えている間に、住民がいかに早く逃げ切れるかというソフト対策の徹底こそが減災の要である」と警鐘を鳴らす。インフラに依存しすぎることなく、避難路の複線化や地域ぐるみの避難訓練を日常化させることが、被害想定を最小限に抑え込む鍵を握る。