インターネット上では、「メンヘラ」「愛着障害」「境界性パーソナリティ障害(BPD)」という3つの言葉が同義語のように混同されて使われるケースが多々あります。しかし、これらを安易にひとくくりにして扱うことは、適切な対処や治療の選択を誤らせる危険を孕んでいます。
まず押さえるべきは、境界性パーソナリティ障害との違いです。愛着障害が「対人関係における情緒的な結びつきのスタイルや傾向」を指すのに対し、BPDは精神医学的な診断基準(DSM-5など)に基づいた「パーソナリティの著しい偏りによる機能不全」を指す疾患です。
BPDの特徴として顕著なのは、他者を「全幅の信頼を置く天使」か「自分を害する悪魔」かの白黒極端に二分する「スプリッティング(スプリット思考)」、自己同一性の激しい障害、慢性的かつ破壊的な空虚感、そして衝動的な自傷行為や自殺企図です。愛着障害の延長線上にBPDが発症するケースは極めて多いものの、愛着障害を抱えるすべての人がBPDに該当するわけではありません。
自己愛性パーソナリティ障害(NPD)や大人の発達障害(ADHD・ASD)に起因する情緒不安定が、外見上「メンヘラ」として現れている事例も少なくありません。ラベルを貼って相手や自分を断罪するのではなく、その言動が「愛着スタイルの偏り」なのか「精神科的治療を要するパーソナリティ障害」なのかを切り分けて見極める視点が不可欠です。