猫よけペットボトルの効果が「ほぼゼロ」であることは、国内外の動物行動学者や獣医師の研究によって既に決着がついています。なぜ水ペットボトルは猫に対して通用しないのか、その決定打となる理由は主に3点あります。
第一に、「刺激に対する慣れ(馴化:じゅんか)」です。警戒心の強い猫であっても、初めて見る物体や不意の光の反射には一瞬たじろぎます。設置直後の1〜2日は近寄らない姿が見られるため、設置者は「効果があった!」と錯覚しがちです。しかし猫は極めて学習能力の高い動物です。数日観察し、「動かない」「音もしない」「痛覚も与えてこない」と理解した瞬間、ペットボトルはただの障害物に格下げされます。
第二に、猫の視覚特性です。猫の網膜には光を感知する桿体細胞(かんたいさいぼう)が多く夜目が利く一方で、色彩を識別する錐体細胞は発達しておらず、動かない物体の詳細な形状や微細な反射光に過剰な恐怖を抱くことはありません。人間が想像するほど、猫はボトルの光を気に留めていないのが実情です。
さらに深刻なのは、猫よけペットボトル逆効果の真相です。現場取材や獣医学関係者の報告によると、慣れきった野良猫がペットボトルの隙間に身を寄せて風よけにしたり、ボトルの角に体をこすりつけて自分の匂い(フェロモン)を擦り付けるマーキングスポットにしてしまうケースが頻発しています。結果として「ペットボトルの真横でフンをされる」「縄張りの目印にされる」という皮肉な事態に陥るのです。加えて、長期間放置された水は緑色の藻が繁殖してヘドロ化し、夏場にはボウフラが湧くなど、衛生環境を著しく悪化させる要因にもなります。