血管の目立ちに悩むあまり、インターネット上の不確かな情報に飛びつき、かえって状態を悪化させてしまうケースが後を絶ちません。代表的な誤解が、「強い力で腕をマッサージすれば血管が引っ込む」「握力トレーニングで前腕を引き締めれば血管が目立たなくなる」という言説です。
解剖学的な見地から断言すれば、浮き出た静脈を力任せに揉みほぐす行為は極めて危険です。表在静脈の壁は非常に薄く、過度な物理的刺激を加えると内皮細胞が傷害され、局所的な内出血や静脈炎を引き起こすリスクがあります。また、静脈内にある逆流防止弁を機械的に破壊してしまえば、血液のうっ滞が常態化し、かえって血管の拡張を助長することになりかねません。
筋トレによる改善という俗説も、前述の通り逆効果に働く公算が大半です。前腕の筋肉を鍛えれば筋肉量が肥大化し、血管を皮膚表面へと押し出す力が増すだけでなく、体脂肪が削ぎ落とされることで血管の陰影はより際立ってしまいます。「血管を細くする」「飲むだけで浮き出た血管が消える」などと謳う健康食品やクリーム製品についても、科学的根拠(エビデンス)は一切存在しないため、安易な支出には厳重な注意が必要です。