NetflixやU-NEXTを開けば、クリック一つで世界中のアーカイブへアクセスできる。倍速視聴やスキップ再生が日常に定着した現在、映画興行界は大きな転換点を迎えている。しかし、そうしたタイパ重視の消費行動に疲弊した人々が回帰している場所こそが、皮肉にも午前中のシネマコンプレックスだ。
自宅のソファで観る映画と、漆黒の空間で向き合う映画は全くの別物である。途中停止も巻き戻しもできない約2時間の拘束。それは不自由ではなく、作品に没入するための贅沢な特権だ。かつてミニシアターが担っていた「良質な旧作のキュレーション機能」を大手シネコンが朝の空き時間を利用して引き受けたことで、映画文化の裾野は確実に広がりを見せている。