ネット上の言説や映画のドラマチックな演出により、ジョージ6世に関して一部で事実と異なる誤解が広まっています。歴史的事実に基づき、主な盲点を整理します。
【誤解1:映画のように短期間で吃音が完全に完治した?】
映画では劇的な変化が強調されますが、現実の吃音は魔法のように「完治」したわけではありません。ジョージ6世は生涯にわたって発話の困難さと緊張感を抱え続け、演説のたびに綿密な原稿チェック(発音しやすい類語への差し替え)と呼吸の訓練を繰り返していました。彼が真に偉大だったのは、障害を消し去ったからではなく、「震える自分を受け入れながら逃げずに話し続けた」点にあります。
【誤解2:ローグと出会ったのは即位直前の1930年代後半?】
映画の構成上、即位前後のドラマとして凝縮されていますが、史実においてアルバートがライオネル・ローグの診療所を初めて訪れたのは1926年10月です。ヨーク公時代の10年以上にわたる地道な訓練の積み重ねがあったからこそ、大戦期の歴史的スピーチを成し遂げることができました。