モル分率と混合気体の関係性は、気体の性質を解き明かす上で最も強力な武器となります。ここで中心的な役割を果たすのがドルトンの分圧の法則です。
理想気体の混合物において、全体の圧力(全圧 $P$)に対する各気体成分が示す単独の圧力(分圧 $p_A$)の割合は、その気体の物質量の割合、すなわちモル分率と分圧・全圧の関係として以下のように直結します。
分圧 $p_A = 全圧 P \times 成分Aのモル分率 x_A$
この関係式が成り立つ理由は、同温・同体積の条件下において、気体の状態方程式 $PV = nRT$ より、圧力 $P$ が物質量 $n$ に完全に比例するためです。つまり、気体の体積比=物質量比(モル比)=モル分率=分圧比という等号関係が完全に成立します。
例えば、大気圧(1.0×10⁵ Pa)のもとで窒素(モル分率 約0.80)と酸素(モル分率 約0.20)が混在している場合、窒素の分圧は $1.0\times 10^5 \times 0.80 = 8.0\times 10^4 \text{ Pa}$、酸素の分圧は $1.0\times 10^5 \times 0.20 = 2.0\times 10^4 \text{ Pa}$ と即座に算出できます。複雑な連立方程式を立てる必要はなく、モル分率を媒介することで計算スピードと正確性が飛躍的に向上します。