本作最大の魅力は、ヒロインを取り巻くふたりの男子の圧倒的な人物描写と、少女漫画ならではの丁寧な心の機微にあります。
美園純は、黒髪でクール、一見すると無愛想で人を寄せ付けない雰囲気を纏っています。しかしその内面は非常に誠実で優しく、うららへの想いを少しずつ自覚してからは、独占欲や嫉妬を垣間見せるギャップで読者の心を掴みました。最初は反発し合っていたうららと美園が、些細な日常の積み重ねの中で唯一無二の距離感を築いていくプロセスは必見です。
対する岡庭愛慈は、爽やかで誰にでも優しく、学校中の女子の憧れの的。うららにとっては文字通り「初恋の王子様」でした。愛慈自身が抱える孤独や、美園に対する複雑な友情、そしてうららを失って初めて気づいた執着と後悔など、単なる完璧な先輩にとどまらない人間味のある葛藤が物語に深い厚みを与えています。