経済ニュース・調査報道の現場から見えてくるのは、制度の理念と市場の現実との間に生じた巨大な亀裂だ。かつて郵政民営化が叫ばれた当時、郵便・貯金・保険の「三事業一体」による相互補完が事業維持の前提とされていた。しかし、超低金利の長期化やデジタルシフトに伴い、金融子会社からの手数料依存モデルが破綻。本業である郵便事業そのものの赤字幅が急拡大し、グループ全体の経営を圧迫する悪循環に陥っている。
「手紙を1通送るごとに赤字が膨らむ」。ある幹部が漏らした独白は、現在の過酷な立ち位置を象徴している。燃料費の上昇や人件費の底上げが続く中、郵便料金の値上げだけでは到底この穴を埋めきれない。官邸や与野党を巻き込んだ政治的綱引きが続くなか、かつて国家の毛細血管と誇られた郵便ネットワークは、今や巨大なコスト構造として重くのしかかっている。