パニックに陥った保護者が「良かれと思って」行い、実際には子どもの気道を塞いだり怪我を負わせたりする危険行動が後を絶ちません。民間療法や古い世代からの誤った言い伝えによって信じ込まれているNG行動の真相を、日本小児神経学会ガイドライン最新の見解を踏まえて解剖します。
最大のタブーは「舌を噛み切らないようにと口の中に指、スプーン、タオルを突っ込むこと」です。かつて広く信じられていたこの俗説ですが、医学的事実として、熱性けいれんの発作中に舌を噛み切って大出血や死に至ることはまずありません。むしろ、異物を口に無理やりねじ込むことで、嘔吐を誘発して吐瀉物が肺に入り窒息死する危険や、子どもの乳歯をへし折って誤嚥させる事故、保護者の指が強い咬筋力で深く噛み切られる大怪我に直結します。口には絶対に何も入れてはいけません。
次いで多い誤りが「意識を取り戻させようと激しく体を揺さぶる・大声で名前を叫び続けること」です。脳が過剰な興奮状態にある痙攣時に感覚的な刺激を与え続けると、発作を長引かせたり、乳幼児揺さぶられ症候群(AHT)に類する脳損傷を引き起こすリスクが生じます。また、「体を冷やそうとして水風呂に入れる・氷水をかける」行為も、急激な体温変化が血管の過剰収縮やショックを引き起こし、浴槽内での溺水事故を招くため極めて危険です。さらに、発作の最中に慌てて常備薬の座薬を入れようとする行為も、直腸粘膜を傷つけるだけでなく、体勢を乱して気道を塞ぐ要因となります。