ずーしーほっきーを目にした多くの人が最初に抱く感情は、好意ではなく「恐怖」「当惑」「違和感」です。ロボット工学や心理学で提唱される「不気味の谷現象」――人間の姿に中途半端に似せることで強い嫌悪感が生じる反応――をあえて突き抜けた造形が、なぜこれほどの熱狂的なファンコミュニティを形成するに至ったのでしょうか。
その背景には、現代の消費者が求める「文脈のギャップ」と「解釈の余白」が存在します。
第一に、完全無欠の「かわいい」マスコットが溢れ返る現代において、完璧な愛嬌はすぐに飽きられ、記憶の奥底へと埋没します。一方で、ずーしーほっきーが放つ不気味さは、人間の生存本能に近い警戒アラートを作動させ、強制的に脳内アテンション(注意の占有)を奪います。
第二に、ビジュアルの不気味さとは裏腹に、イベント現場で見せる機敏な動きやファンサービス、どこか哀愁の漂う立ち姿との落差が、心理学的な「認知的不協和」を解消するための「愛着」へと転換されます。SNS上では「最初は夢に出るほど怖かったのに、気がついたらグッズを買い集めていた」「無表情で佇んでいる姿がたまらなく愛おしい」といった声が数多く寄せられており、恐怖が好奇心を経由して強固なファン心理へと昇華している実態が浮き彫りになっています。