ブラフ・シューペリアSS100に関しては、その伝説性の高さゆえにインターネット上でいくつかの誤解がまことしやかに語り継がれている。ここではメディアが検証した客観的事実に基づき、代表的な誤信を正しておきたい。
誤解1:現行の新生ブラフ・シューペリアは「英国の伝統を失った名前だけのレプリカ」なのか?
ネットのヴィンテージ至上主義者の間では、「フランス製になった時点で別物」と切り捨てる声が散見される。しかし歴史を紐解けば、初代ブラフ・シューペリアも自社でエンジンを一から鋳造していたわけではなく、JAPやマッチレスといった外部の最優秀サプライヤーからパーツを調達し、ノッティンガムの工房で高度にアッセンブルする「スペシャリスト・コンストラクター」であった。現代のティエリー・アンリエット率いるチームも、自前の工場でチタンフレームを削り出し、航空宇宙産業のエンジニアと組んで専用エンジンを開発している。手法の本質は完全に創業時と一致しており、安易なリバッジ車とは一線を画している。
誤解2:アラビアのロレンスの死は「SS100の車輪ロックや操縦安定性の欠陥」が原因だったのか?
一部の陰謀論や俗説では、英国情報部による暗殺説やマシンのメカニカルフォールトが囁かれることがある。しかし、当時の詳細な警察調書、現場検証、および事故を目撃した2人の少年(アルバート・ハーグレイブとフランク・フレッチャー)の公式証言によれば、原因は起伏の激しいブラインドコーナーの先で急に現れた自転車を咄嗟に避けようとしたパニックブレーキと転倒によるものと結論づけられている。当時のSS100は確かに強大なパワーを持っていたが、車体構造の欠陥によって命を落としたわけではない。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
時価数千万円のヴィンテージクラシックであれ、1,000万円超の現代復活モデルであれ、ブラフ・シューペリアSS100は選ばれた者だけが立ち入ることを許される領域だ。この孤高のマシンに対して、誰が挑むべきで、誰が踏みとどまるべきなのか。判断基準は明快である。
【向いている人・手に入れるべき条件】
- 工業製品を「走る工芸品」「機能するアート」として捉え、ガレージの環境維持(空調・湿度管理)に費用と情熱を惜しまない人。
- 最新のスーパースポーツが競い合う数値上の馬力競争(200馬力超、電子制御満載)に虚しさを覚え、削り出し金属の手触りや歴史的背景にロマンを感じる人。
- 購入後のリセールバリューやメンテナンス期間の長さを気にせず、数ヶ月のパーツ待ちすら愉悦として受け入れられる時間的・経済的余裕を持つコレクター。
【慎重になるべき人・購入をおすすめできない条件】
- 「最高級バイク=ボタン一つで壊れず快適に日本全国をツーリングできる道具」と期待している人(ホンダやBMWのフラッグシップツアラーを選ぶべきである)。
- カスタムパーツの豊富さや、近隣の一般的なバイクショップで即日オイル交換や修理が受けられる利便性を求める人。
- リセール価格の短期的な値上がりだけを目的に、投機対象として無理なローンを組もうとしている人。