エンターテインメントの現場からも、この事実は裏付けられている。世界中で愛される名作シットコム『フレンズ (1994年のテレビドラマ)』全10シーズンのセリフデータを紐解くと、全発話の85%以上が中学レベルの英単語で埋め尽くされていることがわかる。
では、法律用語が飛び交うスタイリッシュな法廷ドラマ『SUITS/スーツ』はどうだろうか。難解なリーガルサスペンスに見えるが、Netflixなどの配信プラットフォームで解析された台詞構造を見ると、法廷シーン特有の専門用語を除いた登場人物同士の駆け引きや心理戦のコアは、やはり基本動詞の変奏に過ぎない。
さらに、世界トップクラスの知性が集うTED Conferencesの講演ですら、聴衆の心を揺さぶる名スピーチほど、平易で力強いショートワードで紡がれている。難しい語彙を並べ立てることは、むしろ知性の証明ではなく、伝達の敗北を意味するのだ。