中牟田俊男氏のプロフィールを紐解くと、地方都市がメガロポリスへと脱皮していく昭和から平成の激動の時代が鮮明に浮かび上がります。1926年(大正15年)に生まれた同氏は、慶應義塾大学経済学部を卒業後、家業である岩田屋に入社しました。創業家・中牟田家のプリンスとして帝王学を学び、1963年には30代半ばという若さで第3代社長に就任します。
若きリーダーとして頭角を現した同氏は、単なる百貨店の物販事業にとどまらず、都市交通や街全体の回遊性を高める都市開発構想を次々と打ち出しました。福岡商工会議所会頭や九州経済連合会の要職も歴任し、福岡経済界の重鎮として名実ともに九州財界の中心人物としての地位を確立していきます。
中牟田氏の家族関係においても、父である第2代社長・中牟田喜四郎氏の意思を継ぎつつ、一族経営の結束力を武器に拡大路線を推進しました。岩田屋歴代社長の中でも、同氏が在任した約26年間は、同社が売上・影響力ともにピークを迎えた「黄金期」として語り継がれています。