メディアや広告デザインの現場において、ゴリラをモチーフにしたキャラクターの採用実績が急速に伸びています。その背景にあるのは、認知心理学で説明される「視覚的ギャップ効果」です。本来なら圧倒的な腕力と威圧感を持つ大型類人猿が、小さく丸っこい二頭身や柔らかなパステル調で描かれることで、脳内で「強者なのに無害で愛らしい」という強烈なポジティブ感情が引き起こされます。
ブームの原点として外せないのが、名古屋市東山動植物園のニシローランドゴリラ「シャバーニ」が巻き起こしたイケメンゴリラ現象です。端正な顔立ちと家族思いな生態が報じられて以降、ネット上ではシャバーニ人気イラストまとめが多数投稿され、写実的なカッコよさからデフォルメされた愛らしさへと表現の幅が一気に広がりました。さらに動物園のSNS公式アカウントで配信されるゴリラ赤ちゃん可愛い画像のバズも重なり、「恐ろしい猛獣」という昭和・平成初期のパブリックイメージは完全に払拭されています。
現代のユーザーが求めるのは、完璧に整った可愛さよりも、肩の力が抜けるようなユーモアです。強面な外見を持ちながらバナナを抱えて微笑む姿は、過密な情報社会を生きる受け手に独特の安心感を与えています。